原題:JUDGMENT AT NUREMBERG
監督:スタンリー・クレイマー
出演:スペンサー・トレイシー、バート・ランカスター、リチャード・ウィドマーク
1961年 /アメリカ
日本公開:1962年
戦後のドイツ、ニュールンベルグ。
アメリカの判事ヘイウッドを裁判長に、ナチスのためドイツの法律を変えて、ユダヤ人虐殺に至らしめた司法関係者たちを裁く、国際軍事裁判が開廷された。
被告の中には、世界的法律学者ヤニングの姿もあった。
連合軍側から派遣された検事が責任を追及し、ドイツ側の弁護士が反論していく・・・。
アビー・マンの第三帝国で司法大臣だった男の戦争責任を描いたTVドラマを基に、映画化した作品。
この作品で弁護士役をしたマクシミリアン・シェルは、多くの男優賞を受賞した。
そして、処刑されたドイツ軍人の未亡人をマレーネ・ディートリッヒが気高く演じています。
戦勝国側が用意した裁判長と検事。
そして、当時国際法にはなかったジェノサイドを裁く法律を「人道に対する罪」と無理やり作って当てはめ、しかも事後法で裁こうとするわけです。
作品では、身障者に対する「断種法」の施行と実施、ユダヤ人とのあらゆる接触を禁じる法律なども含め、「人道に対する罪」として立件しています。
そして、この作品の山場はやはりホロコースト。
検事はユダヤ人の収容所の凄惨な様子を撮影したフィルムを裁判所で見せます。
それを見つめる被告人たち・・・検事は声高に「600万人のユダヤ人が虐殺された」と力説。
ニュールンベルグ裁判こそホロコーストというプロパガンダの源泉であったと言われるように、アメリカはあらゆる表現を尽くして「凄惨なホロコースト」を人々に信じさせた・・・らしい。
戦争は国家間で行うものであるのに、ニュールンベルグ裁判はドイツの国家としての戦争責任を裁いたのではなく、ナチスなどの犯罪組織が行ったユダヤ人ジェノサイドのみを「人道に対する罪」で裁いたのです。
この作品では、アメリカ絶対正義を描いているわけではなく、ある程度バランスを取っていることが評価できました。
司法関係者に対し、ジェノサイドを見て見ぬフリをしていたと検事が断罪すれば、弁護士はそんなナチスの存在を知って協力してきた国々も断罪されるべきだと反論。
客観的に考えれば至極もっともな反論ではあるけれど、それが通じない時代と背景であったのだということですね。
それと、オープニングの軽快な歌に相反するように、鍵十字のマークが爆破されるシーンは強烈で、印象に残りました。