ハーモニーベイの夜明け
INSTINCTK
監督:ジョン・タートルトープ
出演:アンソニー・ホプキンス、キューバ・グッディング・Jr、ドナルド・サザーランド、モーラ・ティアニー
1999年 / アメリカ
日本公開:2000年
*** ストーリー
研究のため訪れた東アフリカで行方不明になっていたマイアミ大学元教授イーサン・パウエルが、ルワンダの密林で国立公園レンジャー2人を殺害したとし、アメリカへ強制送還された。
そして、重罪犯刑務所”ハーモニーベイ”に投獄される。
密林で失踪したパウエルは、その後の2年間に何があったのか興味を持った若き精神科医が真相に迫ろうとする。
*** レビュー
ダニエル・クィン原作の「イシュマエル」を基にした作品。
「イシュマエル」はゴリラが先生となり、生徒である人間に対して何故今のような社会になったのかを教えるお話だそうで、そのゴリラがアンソニー・ホプキンス演じるパウエルに成り代わったような感じでしょうか。
パウエルは人類学者の設定であり、彼が密林でゴリラと共に過ごしたことによって人間社会を客観的に見ることができた・・・ということが根底にあるようですが。
人間社会の「しがらみ」や「固定観念」「囚われ」に嫌気がさしたという設定のようですが、単に世捨てをした(人間社会からの逃避)と思えなくもありません。
そして原作で言うところの”生徒”がキューバ・グッディング・Jr演じる若き精神科医。
彼は人間誰しも抱く、出世や名声を望む人物。
心を閉ざしていた人類学者パウエルの精神的闇に自ら申し出て挑むんですね。
ただ、複雑な経緯と設定、刑務所内の囚人のエピソード、パウエルの娘とのエピソードなどが詰め込み過ぎで、肝心なことがボヤけてしまってる気がします。
「愛は霧のかなたに」と「カッコーの巣の上で」と「ショーシャンクの空に」などを足して割ったような印象になって、言いたいことが伝わりにくくなっています。
人間は自分たちで描いた物語の中で生きていて、その物語はその気になればいくらでも変えられる・・・というお話が基なのに、それが伝わらない。
パウエルという人物を演じたアンソニー・ホプキンスは素晴らしかったのですが、それだけに脚本の1本筋を通していないことが残念です。


