8人の女たち
原題:8 FEMMES
監督:フランソワ・オゾン
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、エマニュエル・ベアール、イザベル・ユペール、ファニー・アルダン
2002年 /フランス
日本公開:2002年
ストーリー
1950年代フランスの田舎町。
クリスマスを祝うため、ロンドンに留学している長女が帰ってきた。
家族が揃ったのに、主人のマルセルは一向に寝室から出てこない。
メイドのルイーズがマルセルの部屋に行くと、マルセルは背中を刺されて死んでいた。
レビュー
サスペンス?推理もの?舞台劇?それともミュージカル?・・・とジャンルを限定できないほど、この映画は盛り沢山。
そして、フランスを代表する女優の共演ということで、思わず感動の鳥肌が立つほどの映画でもあるのです。
まず、驚かされるのがカトリーヌ・ドヌーヴの変らぬ美しさではないでしょうかねぇ?
映画で放つオーラは大女優の風格。
このオーラを活かすべくなのか、リアリティのある作品ではなく舞台劇のような作品なものだから、神々しい美しさを振りかざしても嫌味どころかウットリ。
さて、雪が降りしきる風景が冒頭で映り、そこへレンガ造りでとてもステキな家が映し出されます。
おおよそ、外の景色が映されるシーンはそこだけ。
あとは、大きな屋敷の中で話が展開するのです。
監督は、'50年代のハリウッド映画にリスペクトしてこの映画を作ったと語っていました。
当時の人々が銀幕と呼び、日常を忘れることができる空間として栄えた映画館・・・という時代へのオマージュ。
そういえば、この映画のバックに流れるBGMもそんな雰囲気ですね。
サスペンス・ミュージカル・・・というのは監督の試験的な作品だということですけれど、こういう固定観念を崩してくれる作品は大好きです。
ところで、この作品はファッションやヘアスタイル、メイクも楽しめます。
往年のハリウッド女優を意識したファッションだということですけど、アイラインの入れ方がその当時のメイク方法なんでしょうかね?
▼▼▼ネタバレ▼▼▼
娘がクリスマス休暇で帰ってくるんだけれど、娘は良いとこのお嬢さんらしい井手達で、ゴージャスなお母様も登場します・・・その方がカトリーヌ・ドヌーブなんですが。
椅子に座ってる品の良いバアちゃんが孫娘とハグをして、再会を喜ぶ。
赤いド派手で大きなソファーが目に入り、「風と共に去りぬ」に出てきそうな白くて広い階段・・・まさに、そこに映し出される全てが憧れの夢の世界!って感じなのです。
そんな夢うつつな場面がメイドの悲鳴で一転します。
お父様が殺されていた!
ここから推理もののような雰囲気になり、推理小説が好きな末娘が殺人現場の現状維持のために父親の部屋に鍵をかける。
そして、ひとりひとり昨夜の行動を証言していく。
そこから、「憧れの幸せそうな家族」という仮面が剥がれていくのです。
良い母親、良い娘、良い祖母、良いメイドの仮面が崩れていき始める。
そこへマルセルの妹が謎の女から電話で呼び出されて、家にやってくる・・・こうして8人の女の間で修羅場が始まっていくのです。
ここで暴かれるそれぞれの女性たちの裏の顔が、まぁ出るわ出るわ。
いろんな愛憎劇に急変。
女は恐ろしい・・・ということを「これでもかっ!」というほど煽りに煽って頂いております。
こんなドロドロな愛憎劇だと作品が重くなりそうだけれど、女優ひとりひとりが突然歌い踊り出すことで、それを感じさせない。
突然歌を唄い出す展開に首を傾げる人もいるかもしれないけれど、私はOKでしたねー。
作品の中盤はドロドロな感じだったのが、終盤は全てをさらけ出した8人の女性たちの間に「理解」と「融和」が漂い始めていく。
この作品の唯一の男性であるお父様は、ほとんど画面の隅にしか映りません。
マルセルに関わりある女性たちは掘り下げまくるのに対し、マルセルの人となりはまったくわからないまま。
結局、お父様が家族を含めた女性たちに悩み、末娘と仕組んだ偽装殺人だったのですが、更に女たちの醜さを垣間見たお父様は失望して自殺。
あらら・・・他殺じゃなかったのねってことで、エンディングも歌で終えるのでした。
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